先日訪れた台湾で一番印象深かった街、台南。
アスファルトとコンクリート、そして情報と経済が凝縮された台北とは違い、流れる風は緩く、人々が軒先で隣人と談笑する夕暮れ時が残る街。
裸電球に灯がともる頃、空を包む勢いで今尚成長を止めないガジュマルを目指し旧市街を旅してきました。
イギリスの貿易商の倉庫だった廃墟を包むガジュマル、安平樹屋。
剥がれ落ちた天井に成り代わろうとするかのように根が張られていきます。まるで人の考えを知っているかのように。
ガジュマルを楽しむために空中回廊もできていたり、サービスも満点!
天井から眺めることでツリーハウス、あるいは天空の城の住人気分です。バルス!
しかしそこは生きたガジュマル。油断しているとつまづいたり、目をやられます。
それにしても素晴らしい。願わくば日本にもこう言ったガジュマル物件を。そして賃貸で構わないので使わせて欲しいです。
いつだって僕はガジュマライズされた喫茶を夢見るのです。
壁を滴るが如く。
台北から台中経由で旅を続け、ここ台南に着いた時間は閉館3分前くらいになってしまっていました。
台北の空港からバス、電車、新幹線、電車、そしてバスと乗り継ぎの乗り継ぎを重ねここまで来たのに門前払いかと思っていたのですが、お情けなのか適当なのか全然ウェルカムな雰囲気ですごく嬉しかったです!
台中、台南はそれぞれ新幹線の駅と街少し離れ、違う駅になるのでこれからうっかり旅に出られる方は要注意。そしてローカルバスはなんとも本数少ないので、お急ぎでしたらタクシー利用もありかもですね。
その後は老街と呼ばれる旧市街を探索。
剣獅と呼ばれる魔除けがいたるところに置かれていて興味深いです。どこか沖縄のシーサーを連想させます。
秘密結社的な雰囲気。
もはやライフワーク的な感じにすらなってきた世界のお墓めぐり。金獅子が安眠を守護します。
三陳。日本と違い、それほど苗字に種類がないように思いますが同族同士は助け合うべしとか、恋をしてはいけないとかそういうのあるのでしょうか。
草原に沈んでいくようにも見えました。
墓石の上には何やら札がレンガに挟まれていて。。どうしても懐かしの霊験道士、キョンシーのそれを思い出してしまい。冷ややかな汗をかきます。
最後に道教のお寺を少し見学させてもらいました。
モスクを思わせるその天井の美にしばし見とれます。
ここでも剣獅。沖縄もそうですが、なぜライオンのいないこの島国で獅子なのか。亀とか鯨とか、あるいは竜のイメージがあります。
対岸、福建省あたりとの関係性があるのでしょうか。興味深いです。
お札半端ないです。お札文化は道教特有のものなのでしょうか。紙吹雪のようにばらまく姿は遠くチベットのルンタを連想させます。
祈時間。神を信じるか否かとは別に、日常の中に何かの目標や願望についてコンセントレイトする時間があることはすごく大切なのかもしれません。
黒い肌と長い髭、そして赤いボンボンのついた冠。道の神の出で立ちはいつも個性的で魅力的に映ります。
換気扇と共に回転する八極。
こちらはお髭のない神。よく見ると個性も豊かです。
そういえばつげ義春の名作、ねじ式の目医者ばかりのシーンは台南がモデルではないかという説があるようです。
そんな話をぼんやり思い出しながら短い短い生ぬるい海からの南風が吹く夜の台南から北に戻るのでした。
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