旅中のトラブル数は最早食べたパンの数に匹敵するのか。
ジャワ島での乗車中バスの派手な衝突事故、イランでの度を越した痴漢行為、美しい珊瑚礁ではシュノーケル中に船に置いていかれた事もありました。
色々と黒い歴史はありますが、いわゆる強盗やスリといった直球のケースは疑惑や犯行直後の逮捕など除くと皆無。けっこうラッキー君です。
しかしこの事が慢心を呼びました。
昔はTCなど持ち歩く健全な防犯対策をモットーとしていたのにいまや完全なノー保険。ノーガードで打ち合おうじゃないかといった強気なトラベルバカ。
そんな私、聖なる街サンクトペテルブルグでぺろんとすられました。
カメラの望遠レンズが本体から分離して破廉恥な盗人の手に。おいたわしや‥。
あまりの脱力感に道行く謎のロシアンドクターにおもむろに血圧測定器を渡される始末。
というわけでして翌日予定していたペテルブルグの目玉、エルミタージュはサブレンズの魚眼一本でいざ勝負。奇妙な奥行き写真ばかりの美の殿堂と相成りました。
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しかしこんな傷心者にも女神は微笑みました。エントランスからして宮殿力全開。
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バブってますロマノフ朝。この頃からでしょうか、私の中でシャンデリア熱急上昇。
お店の天井からお下品なシャンデリアがぶら下がる日が来るかも、来ないかも‥。
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ラファエロの回廊。吸い込まれそうな空間美!個人的にはここがエルミタージュの頂きでありました。
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どこかおっさんを思わせる目付きと下っ腹。
しかしそれでも美しいってのはどういうわけなんだい。
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強烈な紅。
スーパーゴージャスなワンルーム。こんなワンルームで暮らす生活を夢想してみたり。
落ち着いておうどんとか食べれないでしょうか。
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とあるドアノブ。猛禽系開門。
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書斎はすでに書店レベルに。
寒い国ほど書に対する思い入れが深いのでしょうか。
静かに開かれる日を待つ本がなにやらけなげで感慨深く、比較的地味な部屋でしたが長い時間留まってしまいました。
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帰る頃にはレンズの事は忘れ‥てはいませんでしたが、それでも圧倒的な美世界が脳を満たしてくれたおかげでぽわーんとした気持ちで一日を過ごす事が出来ました。
辛い事がある時はどえらい世界を見に旅に出るべし。
今回学んだ教訓でありました。