今年の春だったでしょうか。ふと訪れた企画展がとても面白かったので少し振り返りたくなりました。
一定の場所に滞在し、そこで大地や風習、そこで流れる時間と対話しながら作品を作っていくレジデンスというのですが、舞台は雲ノ平山荘という北アルプスの奥の奥。自分にとっては辿り着くだけでも至難の、境界線の向こう側の土地で滞在し製作された作品。
その表現方法もドローイングや写真から版画や映像、漫画まで様々。
場所も根津の住宅街の中の古いマンション?の中という異。見応えのある展示でした。

僕は山小屋に泊まったことは数えることしかないですが、いつもの当たり前が当たり前ではない、不便で禁欲的、しかしほんの僅かでも法ではなく掟が律する世界にだいぶ近づいているのかな、そんなことを寝袋にくるまりながら静かな興奮を感じたりしました。

今、地球規模で自然は危機にあると思います。子供の頃に比べて明らかに暑すぎる夏、それに伴う豪雨、台風。氷河は溶け砂漠は広がる。
しかしそれは自然ではなく人間都合の環境の話なのかもしれません。増え続ける人口を無限に支えてくれる快適な環境。
ほんの僅かな時間でも山にいると、圧倒的に暗い夜、一瞬で霧から雲になり土砂降りになる天候と向き合うことになります。
自然は守ってあげなくてはいけない繊細なものという認識は思い上がりなのか。
季節が巡るように、住み難くなる地球もまた自然の大きな流れなのかもしれません。

東京に持ち帰られて、それぞれの作家さんの解釈で表現される北アルプスの姿。
日が暮れた東京の明かりが灯る窓と山荘の関係性は遠いのか、近いのか。
願わくば次の世代も共存できる世界でありますように。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください