九州と聞いて真っ先に思い浮かぶ光景。
湯布院の華やかな温泉小道。竜馬も駆け抜けた長崎のエキゾチックな街並み。あるいは博多や熊本、ちゃんぽんに代表されるバラエティーに富んだ麺カルチャー。
それぞれがそれぞれの九州。
ただなぜでしょうか、自分のそれは軍艦島でした。
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長崎港は雨。それもゲリラ中のゲリラ。
なんとか出発こそしたものの屋上に陣取る私を雨が貫く貫く。
風こそ控えめだったものの潮の流れは素人目にも荒れてらっしゃいます。
一時は隣島の高島に避難までする大惨事を乗り越えて、、
そしてその夢にまで見た島は雷雨の中から滲みあがるように姿を現したのであります。
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端島無人。
そして我々も上陸することはできませんでした。うーん、残念。
途中、隣島の高島で聞いた炭鉱の繁栄と衰退、そして来る途中に散々味わった自然の猛威のほんの一端。
なにやら自分の中に芽生えたのは廃墟云々とはまた少し異なる気持ちでした。
とにかくこれは再訪しなければと心に誓うのでありました。
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旧跡名所には事欠かない街、長崎。
情緒ある教会や公園を差し置いて心にインパクトという楔をブチこんでくれたのが
福済寺の万国霊廟長崎観音さん。
山門からして非常にスペーシー。
ワームホールと直結しているかの如く。吸い込まれて境内に。
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出た!
カメブッダ出た!
慈悲の巨大観音とワンランク上の世界を見据える眼光を放つ怒りガメ!
愛と憎しみのコントラストか、いや、ひょっとしたら巨亀さんは悪しき何かから我々人類を守ってくれようとしての眼差しなのかもしれません。なんといっても亀は万年。ありがたいです。
寺院の地下には地球の自転を示すフーコーの振り子も完備。
勝海舟と坂本竜馬も一ヶ月ほど滞在したとのこぼれ話もちらほら。
外観こそ一風変わっていますが原爆被災者や戦没者のための慰霊と平和祈念のために建立された慈愛に満ちたお寺さんでした。
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そして福岡が世界に放つ造形美、志免鉱業所竪坑櫓。
旅の締めはここしかないとこっそり心に決めていたのです。
47.65メートルのフォルムもひたすら圧巻ですが地下には竪坑が地下430メートル垂直に!あぁ‥。
壊すことは一瞬。あえて残すことの意義と意味がまさに目前で仁王立ちなんです!
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デス博多系、改め国の重要文化財です。
あぁ‥、透けてるよ‥。
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端島もそうでしたが50年ほど前までは現役で稼働して日本の高度経済成長を支えてくれた雄姿に涙が出そうです。
石炭、石油、そして今は原子力‥。
発展とエネルギーの歴史、そしてこれから進むべき道について考えさせられる旅でもありました。

One thought on “インダストリアル・カメブッダ”

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