名称未設定-3039いささか唐突ですが、影絵、お好きでしょうか。
僕はもう居ても立っても居られないくらい大好きでして、今回インドネシアを再び旅をするきっかけの一つが、古典を演じる影絵の伝統芸能、ワヤンクリをもう一度見たいと思いたったことでした。

こちらは影絵が演じられるソノブドヨ美術館での人形製作風景。
名称未設定-3051ジョグジャカルタで見た影絵の演目はラーマーヤナ。
epic、いわゆる叙事詩の代表格とかで教科書に出てきたりしますがそのエピソードの突っ込んだところまで知る人は以外と少ないと思うのです。ましてや常に対になってその存在が語られるマハーバーラタはさらにマニアックなベールに包まれております。
実際、インドネシアで演じられるワヤンクリの演目はほとんどがマハーバーラタだそうです。意外でした。5対100の兄弟ウォーズ、これが知れば知るほど面白いのです。
やはり影絵人形もマハーバーラタ系はあまり反応が薄いみたいで、カルナとアルジュナの対戦は手に汗握りますね。。みたいなことを言うと職人さんにものすごいリアクションをいただいて。
自分ビギナーなんで突っ込んだ話わからんのですが、それでも共通の話題を軸に重なることが全くなかった異文化に暮らす人生が重なる瞬間って素晴らしいです。

写真はガネーシャ?謎の象神様。クオリティー高いですがお値段もやはり高いのです。
クレジットカードを握る手に滴る汗。
名称未設定-3122さて劇場内はこんな感じ。
日ごとにラーマーヤナのエピソードごとに分けて演じていらっるようです。
全部見るには一週間の滞在が必要ということでしょうか。。半端じゃないです。
名称未設定-3101この日は運良くラーヴァナとの決闘ですよ!いきなりクライマックス!
名称未設定-3095彼が人形使い、ダラン。超イケメンです。
名称未設定-3103そしてバックを固める渋いガムラン一座。グンデル・ワヤンです。
バリの劇団と違いスピードは限りなくゆったり。しかしそこから発するゆらぎのような言葉にすることができないメロディは本当に素晴らしく、どこか恐ろしさすら感じるほどです。
名称未設定-3116神々の美しき整列。
名称未設定-3136ナレーションのようなパートが終わり、いよいよ躍動します!
しかし正直少しは予習してきたのですが誰が誰やら。主人公だと思っていたラーマがいつの間にかやられる側のラクシャーサだったり。バトルが続く中急に道化役の三人衆が出てきたり。
それでも一人心拍数は天井知らず。嗚呼、心は海を越えランカー島へ旅立ってしまいました!
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名称未設定-3248こちらは軍勢か。遠目にバスか鉄道かと思い仰天しました。
名称未設定-3264このステージにも実は大きな秘密があるようで。ギャラリーが見るモノクロの影絵側はいわゆる現世で、色鮮やかな人形使いとガムランで溢れる舞台裏は常世とされているそうです。現世において我々が目にする世界なんて本当の美しさの氷山の一角ということなのでしょうか。。
そもそも影絵の人形が極彩色で丁寧に彩られていることの意味や意義にもっと早く気がつくべきでした。
なんとなくモノクロの影の世界をあの世、極彩色の世界が現世だと思い込んでいた自分にこの意味深で教訓めいたメタファーは大きな衝撃となりました。
名称未設定-3327矢が刺さり、羅刹の王が倒れこの夜の舞台は幕を閉じました。たぶん。。
名称未設定-3333最初と最後に必ず登場する宇宙の樹。無の空間に空気や水をもたらし世界を作り舞台は始まります。
目に見えることだけでない空間作り。テレビやインターネットにはないリアリティ。
名称未設定-3341その世界樹、カヨナン。一言で言うと森羅万象です。
名称未設定-3344神話の世界と僕等が住む日常を一振りで入れ替える力。
無事に神話の世界から帰ってこれたことに感謝です。
名称未設定-3346そして誰もいなくなった劇場。
やはりいつかは日常の中で、月夜の下で、当たり前のように現れ、そしてあたり前のように過ぎ去っていく、観光用ではないワヤンを追いかけてみたいなと改めて思うのでした。
名称未設定-3349この日の夜も月は煌煌と輝いていました。

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