今年の猛暑がまだ始まる前の話。我々は岩手、花巻におりました。
かろうじて銀河鉄道、実はほとんどまともに物語読んだことないけど、タイトルやエピソードだけやたら知っている宮沢賢治。そんな彼の故郷であり、イーハトーブという世界観の舞台であるこの地に建てられている記念館や博物館を巡ってみようと思います。
宮沢賢治記念館、宮沢賢治童話村、そしてイーハトーブ館とざっと三つの展示場。各記念館の個性や棲み分けなどがわからないまま、まずは記念館に立ち寄ってみることにしました。


館内はいわゆる道順に進んでいく通路型タイプではなく、太陽系というか波紋というか、中心点がありそこから縁が広がっていくような不思議な構造。
ならばと気が向くままに歩いてみると、宮沢さんの内側に広がる広大な世界観に驚きます。
正直、童話作家プラスαというイメージがあったのですが、天文、地質、民族、宗教、化学、農業などなど。一人の人間の好奇心とはここまで広がっていくことのできるものなのか。
また春と修羅など僕でも名前を知っている代表作の荒々しい下書きの展示。
ほんわかした牧歌的な人柄なのかしらと思っていたのでその人間性を知るにつれて全く違う認識だったと驚きました。
溢れた知識がやがて想像力になり、物語という大河になり世界を巡る。
アウトプットの方法は違えどもあらゆる表現手段の源泉は同じだと改めて思うのでした。

謎の巨人の肖像。

mental sketch modified。
有名で割とキャッチーなタイトルの割には読みだすと古い言葉の壁にぶつかってしまいましたが、妹の死を受け入れられない悲痛な心の詩。
詩の世界にはまるで疎いのですが、視覚としての文章のあり方も割と自由というか遊び心があるようですね。この春と修羅も詩自体が波を打つように構成されているとのことでした。これは面白い。


花巻に着いたのが夕方だったのでイーハトーブ館と童話村は翌日に。
ちなみにこの日はずっと凄い凄いと聞いていた山奥の夏油温泉に宿泊。こちらがまたとんでもなく濃厚だったのでまた改めて。。

イーハトーブ館はよりアカデミックに宮沢賢治の世界観を掘り下げていくような印象でした。訪れた時の展示はエスペラント語。世界言語ですね。
個人的には併設されたシアターで上映されていた注文の多い料理店の無声バージョンが素晴らしいと思ったので行かれる方はぜひチェックしてみてください。

最後にこちら童話村。こちらは逆にお子様連れの皆さん向けの施設でしょうか。
訪れた時も修学旅行のお子様でにぎにぎしていました。

スクールで誰もが一度は爆上がりする教科書のミステリー。それがクラムボン。
カプカプ笑う謎と、やまなしというタイトルのギャップはさすが。

銀河鉄道の世界をビジュアル化した館内。ジョバンニ気分で巡ります。

巨大なカマキリと自称ジョバンニ。

タイトルは知っていたけど内容を全く知らなかった注文の多い料理店、そしてチェロ弾きのゴーシュ。親しみやすい二つの作品の展示を大量の児童に混じって眺める私。
どちらもよくできたお話でございました。

家に帰ってから改めて、うろ覚えだった銀河鉄道の夜を読んだのですが、本当によくできた話だなと改めて思うのでした。嗚呼カンパネッラ!

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