7月28日(火)から3週間、小川周佑さんの写真展、盆會を開催します!
先日これまでの集大成とも言える妖精と妖怪、そして国境線上の飛び地というマニアックも極まったかというイベントをぶちかまし、好評の内に幕を閉じたばかりのオガちゃんの世界ですが、早速新章!
遠野と郡上とアイスランド。
それぞれの現世と常世。それぞれの盆會。
それは現実と創造の話か、終焉と始まりの話か、あるいは並行する世界のなのか。
僕も興味のある話なのでとても楽しみです。

また今回も期間中にイベントぶち上げる予定とのこと。
何やら中継で各地の語り部ををつなぐとか。黄泉比良坂生中継。
前回のアイスランドの妖精の展示でも伝説に残るクロストークを繰り広げたオガの奇妙な冒険。ぜひお付き合いください。
前回のアイスランドの展示の様子もリンクを貼らせていただきます。面白い展示だった!
こちら前回のトークの様子です。巨岩
そしてアイルランドの妖精。

以降小川さんのプロフィールと作品の説明です。『盆會』(ぼんえ)

7月半ば、空に吸い込まれていく送り火の煙を眺めながら、今年の東京の盆は終わっていった。

昨年夏、友人達とひょんなことから「お盆」を追うことになり、友人の住む岩手の遠野、岐阜の郡上を回っていた。
東京にずっと住み、「お盆」といっても自宅でやる送り火と迎え火しか知らない(さらに言えば、あまり盆に関して大きな行事をやらない浄土真宗の家に生まれた)自分にとって、そこで見た風景のひとつひとつが忘れられないものになった。

「新精霊」と呼ばれる儀式の物哀しい和讃の響き。新盆の死者の魂を乗せた船が燃やされる風景。まるで現代の風景とは思えない白鳥の拝殿踊りの「踊り助平」達による高らかな歌声。ぐるぐると、時に時計回りに、時に逆回りに回転し続ける踊りの円。

これは現世の出来事なのか?
それともこれは夢の中なのか?
それとも?

生とは?
死とは?

時間の感覚を失い、ここがどこかもわからず、自分の身体から現実性が失われていき、ふっと我に帰るといつもと変わらない自分がいて、だけれどもせっかく掴んだ確からしい「自分」というものは、ふとしたタイミングでまた、夜に闇に炎に溶け込んでしまう。

そんな「お盆」の経験を経て、昨年末、三度目の取材となるアイスランドに行った。

アイスランドにも、「現世と異界の境界線が曖昧になる日」が年4回あり、その3/4が年末年始に集中しているからだ。

そして、アイスランドでも、その時期に見た光景や、体験した物事は、まるでその年、夏の日本のお盆で自分が体験したような、「この世」というものを揺がせるようなものだった。

日本に帰ってきた。この体験を誰かに伝えようと、友人達とお盆に関する本を作り上げ、そしてその中や、それ以外から十数点、写真を展示することにした。

写真展のタイトルに「盆會」という言葉を選んだ。原義は仏教用語の「盂蘭盆会」から来ていて、「盆会」「盆會」と略する宗派もあるという。「盆會」という言葉はそこから由来する。しかしここでは仏教的なことに限らず、「誰かに会う」という意味を、「會」という旧字の漢字一文字に籠めている。

伝えるべき言葉がいくつもあった。
誰かに会えるかもしれない。
お盆になると時々そんなことを考えてしまう。

空に吸い込まれていく送り火の煙を眺めながら、今年の東京の盆は終わっていった。
他の地域にも盆の季節が、人の数だけ、送って行った人の数だけ、それぞれの言葉を抱える日々がやってくる。

小川周佑

1985年生まれ。大学在学中にバックパッカーとして南米・中東・アフリカなどを旅し、卒業後は各国の歴史的事件・文化・民族を取材する写真家・ライターに。2015年インドーバングラデシュの国境線変更と、それに伴い消滅した「謎の飛び地地帯」を日本人として唯一取材。2018年謎の妖精「Huldufólk」にまつわる事件、信仰の現状を取材にアイスランドへ。 同年から日本における民俗学において重要な場所である遠野を度々訪問している。雑誌『旅行人』『LOCKET』に寄稿、スペイン雑誌『 Año Cero』に写真掲載、写真集『Huldufólk íslands Ⅰ』を2019年に発表。

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