少し時間を遡ります。とは言え一ヶ月とちょっと前なのですが、随分懐かしくも思えるクレマチスの丘。
緊急事態宣言後は残念ながら閉まってしまっているようですがその少し前、春が一番春らしさを誇っていた瞬間、ほぼ無人のヴァンジ彫刻庭園美術館はほとんど浄土。
そよ風が吹き、枝が揺れ、影が踊る。それだけで満ち足りた気持ちになるなんてことが自分の人生に訪れるとは。
訪れたのは初めてではないですがヴァンジ氏の彫刻は本当に大好きです。嵐のような人の心の奥にある神殿のような静寂。聖域にたどり着くまでに醜さや愚かさを知りながらも人の造形を作り続ける理由は、きっと全ての表現に通じる根源的なものだと思います。

企画展のセンスオブワンダーはこじんまりしていて、撮影禁止でしたが訪れてよかったと思える展示でした。
子供の頃、知識や常識が訪れる前、全てが不思議に輝いていた頃の感性を思い出すことができたなら、それは本当に素晴らしいことですね。
自分の目で見たものや耳で聞いたもの以外は何もない無垢の世界。そういうものだよという知恵で森羅万象が曇るまでのほんのわずかな瞬間の感性。
ごろんと庭園の芝生に転がって少しの間子供の頃のことを思い出しました。
全てが気持ちいい。

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