simanami24インドのことで頭が一杯になってしまっていましたが、少し時を遡り、四国の話を。
道後温泉から石手寺を経由して北へ。地の果て今治から瀬戸内の海を望みます。
崩れると予想されていた天気は幸いにして持ちこたえてくれました。
星をなぞり星座が誕生したように大小様々な個性を持つ島が橋で結ばれ線を描く道にもまたロマンがあるじゃないですか。
そんな海に道をかもめと共に自転車で滑走する若者達。まぶしいぜよ。
自分もまた潮風に乗ってシマナミを一気に広島とも考えたのですが、いかんせん今回は四国旅。ここで本州に戻ると山陰、九州と歯止めが効かなくなりふわふわと日本行脚に出てしまう事になりかねません。という事で寸止めUターン。
目的地は県境でもある大三島と定めました。simanami03潮騒と二つの島を駆け抜け辿り着いた大三島。
さてこの大三島が別名神の島とも言われる所以が大山祇神社。
瀬戸内の小さな島の神社かと思いきや、まだ神話と歴史の境界線があいまいな時代からの聖地と知り驚愕。
蹴鞠とか俳句とかの頃かと思いきや埴輪時代にこの島で神事が行われていた跡があるとのこと。
simanami02また驚かされたのが境内に祀られていた楠。最早完全に八百万の神の風格です。
インド、あるいは諸外国の聖地や宗教施設を巡ってきて思う事なのですが樹や山や海、あるいは鎮守の森。
そういった森羅万象に神を見出す、アニミズムに近い感性が残っているからなのでしょうか、先祖代々、規律と敬いの心で豊かな自然を大切に守ってらっしゃると感じます。
信仰心自体は無いに等しい現代に生きる我々ではありますが、僕は環境問題とはまたベクトルの異なる、日本のそういった凛とした感覚を誇りに思うのです。
simanami05ところで僕が大三島までやってきた目的の一つに、こののどかな島に点在する美術館を巡る事がありました。東の海、直島を中心とするいわゆるトリエンナーレの流れとはまた別の島の美術巡り。
潮風が気持ちいい静かな海岸線に突如姿を現したのがところミュージアム。シュール!
凄いのは入口だけでなく、トンネル型の館内は斜面を利用して坂道を下るように作られていて、その坂道の間、間に作品が展示されているのです。
作品も点数こそ少ないですが造形美とユーモアに満ちた、本当に素敵な作品ばかりでした。
simanami06階段を下りきった先、即ち美術館の終わりには静かなテラス。絶景を眺めながらコーヒーが飲めちゃったりします。もう最高。
simanami08そして予備知識なく訪れた伊東豊雄建築ミュージアム。
ところミュージアムとはまた様相異なる怪しさ。建物なのかオブジェなのか、あるいは静かな田舎道に不時着した遊星からの物体Xなのか。
simanami07自転車置き場も怪しげな気配。
simanami09物体Xの正体はスティールハットと呼ばれる著名な建築家による美術館。展示もユニークでその名も、日本一美しい島・大三島で暮らすプロジェクト。
古くから自然体で島と共に暮らしてきた人々の生活、そしてその豊かな土地で新たな日常を見出し移住してきた人々。
ないものを求めるのではなく、あるものを生かすという生活とはなんなのか。すごく興味のあるテーマだったのでぐいぐい時間を忘れて引き込まれていきました。
simanami10月並みだけど、毎日考えることがあります。豊かさとはなんだろうと。
奇妙な宇宙船の様な館内で流れいていた映像の中、土まみれで豪快に笑うおじさんの顔が印象的でした。
simanami11美術館の外に出ると淡い日差しと海。嗚呼。
simanami12スティールハットと対を成すシルバーハットは建築のアーカイブとガラス張りの建物から望む海をいつまでも眺めていられる施設。
桃色チェアとジャミラ店長。悪鬼の形相ですがうかれています。
simanami19海岸線沿いをさらに南へ。いよいよ果てまで来たかと言うロケーションい廃校を利用した宿、ふるさと憩いの家があります。
simanami15残念ながらこの日は宿泊する事はできませんでしたが中を少し見学させてもらいました。
校庭にはトーテム。子供達の手によるものなのでしょうか。
simanami14廊下の向こうからこんなのが滑ってきたら腰抜かします。
simanami16学校のすぐ横には最後の美術館、岩田健母と子のミュージアムがあります。
静かに、校庭と溶け合う様に、彫刻が姿を現します。
simanami18雨の予報の平日だったからでしょうか。母と子のミュージアムに限らずここまで三館全て貸切でした。
それはもう本当に贅沢な時間。どこで見るというよりどのように見れたかということが、この素晴らしき島の美術巡りをかけがえの無いものにしてくれました。
simanami17海の真ん中に浮かぶ島の果てで空を見ながら育つ子供達は、ひょっとしたら風船で世界の果てまで行く事だってできるのかもしれません。それはかけがえの無い力だと思います。
simanami20美術館を後にして南回りで街道に戻ります。
偶然のカゴアートを眺めつつ。
simanami21おみやげにはみかんを。そういえばスタッフとして働いてくれていたイイダさんがすぐ隣の大崎上島でジャム作りをしながら住んでいたという話を思い出しました。
今度ゆっくり話を聞いてみようと思います。
simanami23しまなみ海道を南に遡り再び四国へ。
宇和島方面に向かい、四万十経由で高知へ向かうなんて夢みたいな予定を立てていましたが、完全に四国のデカさを甘く見ていました。
来た道を大人しく戻って最終日に備えます。

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