最近訪れた写真展の様子を少しだけレポート。
近代美術館の中平卓馬さんの回顧展。
その昔、中平卓馬さんの撮影に同行したことがあるというお客さん曰く、港でいきなりガソリン撒いて火をつけてくれと言われたと。すごい。
一方で晩年、綱島時代に勇気を出して声をかけ、撮影に同行したいとお願いしたお客さん曰く、明日鎌倉行くから色々調べておけてって言われ、当日やっぱみなとみらいに行くわって言われ呆気に取られたという逸話も聞きます。
お店の前で何度も姿を見かけた中平さん。声をかける勇気が僕には足らなかった。
僕は中期の氾濫の写真が一番かっこいいなと思った次第。特に後半の作品、正直難解でしたが、こういうことを考えて写真を撮っているんだと好奇心が高鳴りました。
最後の展示室、映像作品で風で飛ばされた帽子を拾いに柵をよじのぼり、崖の方に吸い込まれていくように歩いていく姿とショートホープの箱に書かれた日記?がすごく印象深かったです。。

ご近所東照寺さんの小坊主!!

東京駅BUG
いわゆる写真展とはいつも完全に一線を画す千賀さんの展示。
「まず、自分でやってみる。」ポジティブなメッセージも不穏すぎる礼拝堂の様な空間の中に立ってみると、どういう意味合いでその言葉ですかと。。逆に恐ろしくなってきます。。
テーマの特殊詐欺も恐ろしいのですが、足元のスゴロク?!に描かれているように僕たちが本当はどういう人間なのかよりもどのように人から見られたいか、そういうイメージが蓄積されて世の中や善悪といった認識が出来上がっているような薄寒さを感じます。
例えば匿名性が自分が誰かバレない状況で、自分は本当に人を傷つけないで生きていけるのか。そう問われているような緊張感。
そう思うと写真もまたその人の人間力と、その人がこう思われたいといった欲求の結晶の様なものなのか。
天使のような笑顔でいつも悪魔のような解説をしてくれる千賀さん。エグいです。。

同じく東京駅、ステーションギャラリー。

安井仲治さんの展示も拝見。
シュルレアリスムの頃よりデモの頃の写真の方が僕は好き。多重露光もかっこいいです。
それにしても38歳で亡くなられたとは知りませんでした。。
目で見える風景を残す記録ではなく、様々な技法や演出で現実とそうでない世界を表現する。人間の想像力に時代なんて関係ないのかもしれません。

高木由利子さんの写真展、chaoscosmos。
表参道ど真ん中、GYRE。正直、この辺歩くだけでなんか疲れますな。。
散った桜と我々が暮らす銀河はよう似ておりますな。儚いんだぜ。

 

最後に展示ではないのですが、弾丸山形の旅に持って行って一気読みしたホハレ峠。
近頃携帯ばかり弄ってろくに読書していなかったけれど、やっぱり自分の中に染み渡っていくのは本。素晴らしかった。
大西暢夫さん、お会いしたことないけれど10年以上も一人の人間に寄り添って関わり続ける事の凄さ、他人事を自分のことのように感じることのできる感受性、写真家とはこういう人がなるべきものなんだろうなと思う次第。
本橋成一に師事されてらっしゃったというのもすごく納得。
大好きな写真集の浅草善哉もそうですが、ずっとこだわりを持ち続け暮らしているおじいちゃんやおばあちゃんが、どのように生まれ、日々を暮らし、今に至るのか。そういった物語に自分はほろりときやすいなと最近気づきました。
特に戦争や開拓の時代を生きてきた方の物語は本当に逞しく、そして切ない。
大西さんにとってのゆきえさんのような人に、自分もこの先出会うことがあるのか。きっとあるはず。一つ一つの出会いを大切にしなければ。

 

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