先日お店を早上がりさせていただき、熱海に行って来ました。
大学時代を小田原で過ごした自分としてはどこか懐かしい関東の果て。湘南、西湘と徐々に緩やかになっていく時の流れが止まるゼロポイントと言っても過言ではないかもしれません。
その昔、海底温泉をはじめリゾートとして一世を風靡しつつも箱根あたりとは一線を画した独自の進化を進めた印象のある伊豆半島。その中でも熱海は何か象徴的な存在のような気がします。

その熱海の総本山ニューアカオ。休業中のホテルを利用したアートイベント、ATAMI ART GRANTへ行って来ました。

第3の故郷小田原まではスムーズに辿り着いたのですが湯河原あたりから大渋滞。
海と山に挟まれ景観は素晴らしいのですが、道も実質一本なのでトラブルがあると
如何ともし難い状況。結局現場に着いたのは日も大きく傾いた頃となってしまいました。

重厚なエントランス。ドレスコードとか大丈夫かとドキドキするようなエレガントな雰囲気。この後出現する魑魅魍魎の気配をこの時はまだ微塵も感じることはできませんね。

長い長い通路を経て別館へ。
シャンデリアがゴージャスなグランドホール。
作品も中東の方の絵画で面白いのですがやはりこの間のインパクト。
仮面舞踏会とか平気で行われてそうな空間の窓からは全面海。そしてこの日の相模湾は穏やかとは言えない波高さ。

シャンデリア、巨大UFOの如く。

上のフロアには早速バケモノのような作品。
シャンデリアやホールが小さいのではなく顔がひたすらでかい。
しかしその唐突感、ミスマッチ感は狙ってもなかなか出せないのかもしれません。

ここからエレベーターに乗って一気に一階へ。
そうなんです、崖に立てられているので入り口が15階、顔があったのが17階。
どこか心地よかった波の音が一転、絶え間なく反復する雄叫びに。
大浴場などを擁するこのフロアは上階と違い、どこか薄暗く、湿度が高い。

そんな暗がりに佇むゲームセンターがいきなり動き出したりして。
予備知識もないのでだいぶ怖い。

不思議なリズム感で動き続ける玩具、謎に回るミラーボール。

その先には真っ暗なプール。
夜の無人のプールというのは言葉にはし難い磁場のような存在感を醸し出すものですね。
スプリンクラーから飛ばされる水粉がシルエットになり、今世界で最も尊い場所のような不思議な存在感を放ちはじめる。

そして大浴場。不穏しかないです。

多分暗室をイメージしたインスタレーション。暗すぎて、そしてどこまで演出なのかわからないまま進み、私は浴槽に足を突っ込んでしまい大惨事です

2階に上がりさらに奥深くへ。
薄暗い通路に廃墟化した部屋なのか作品なのか一瞬わからない空間が続きます。

劇場のようなフロアへ。一つのホテルにこれだけ多様な施設や世界観を内包しているとは入り口潜った段階では夢にも思いませんでした。恐るべしニューアカオ。

地形がどうなっているのかわかりませんが、ここの窓からは岸壁に開いた穴が目前で、すぐ目前を波が通過していきました。台風の時とかどうなるのか。怖いような、でも少し見てみたいような。。

一気に6階。このフロアは自分がファンでもある冨安由真さんの独壇場。
完全にシャシニング。VRを使った作品で2階とも連動している大作。
物語を残しつつも廃墟化した空間と実に相性の良い作品をいつも展示してらっしゃってすごいなぁと思っておるのです。

これより上の12、14階はそれぞれの客室に一人のアーティストが作品を展示するスタイルです。
そして熱海に着くまでの渋滞のおかげでこの段階で閉館までタイムリミットのような状態になってしまいました。
まるでホラー映画の被害者のように駆け抜けました!
もっとゆっくり見たかった、、さらにここニューアカオ以外にも熱海中が会場になっており本来なら1日かけてでも全てを見ることはできない規模。
来年はゆっくり見たい。しかしニューアカオの未来がどうなるのかは全くわかりません。
今のように漂流船のように漂い続けるのか、解体か、はたまた復活か。
来年も行われるのであればぜひ訪れたいと思うのでした。

ところで、、実は私去年も訪れているので。ニューアカオへ。。
去年は無料公開ということもあり大変話題になり、コロナ禍真っ只中で人数制限も厳しく実に2時間近くも行列に並んだのでした。。
今回と違い日中の訪問だったので雰囲気もだいぶ今回と違い興味津々だったのですが、実はこの時自分、新宿で写真の展示をしている真っ只中で、午前中サクッと熱海見て夕方から新宿なんて悠長なことを考えておったのです。
なんとか入場したものの、上のフロアを見たのち、まさかの迷子になり、結局ほんの僅かな上階の展示だけ見て撤収するという、去年の思い出の中でもしょっぱさに関しては1、2を争う粗相をしてしまったのです。
二兎を追うものなんとやらです。
それにしても今年のリベンジでまさか渋滞に捕まるとは。。因果のようなものを感じます。。


蛇足ですが駐車場で隣に停まっていた車が凄すぎたのですがこちらも作品だったのでしょうか。。
のちに知ったのですが著名な秘宝館。このご縁を紡いでぜひ訪れてみたいとこっそり思うのでした。。

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