流れ流され気が付けばインドの最果てアムリトサル。
ここまで来たら当然参拝に訪れるのがシク教総本山ハリマンディル・サーヒブ。
通称golden temple、即ち黄金寺院です。
靴を預け足を洗い、頭にターバンを装着する、それだけで国籍問わず旅人もがっつりウェルカムな懐の広さが素敵すぎるシーク教徒の皆さん。
内部はフリーご飯、フリーチャイ、そしてフリー宿泊と完全に極楽。
こんな太っ腹な聖地、僕は他に知りません。
僕も早速頭にタオルを巻き身を清めます。しかしやはり即席、なかなかシクの皆さんのようにがっつりキマりません。そこはかとなくピッコロ大魔王。
こちらが本家。槍持ってるしヒゲだって半端ない。即席ピッコロなんて比べ物にならないほどかっこいいんです。ヒゲとターバンの黄金比。
そして皆本当に優しい。あるいは優しくなれる。
他人と同じ姿になり様々な偏見や境界線を無くすこと、僕のいままでの人生であまりそういう機会はありませんでした。
談笑していると、なんだかほにゃららがフリーだからとかそんなことどうでもよくなってきます。
内部はこの熱気!祝日の夜という事もあってフロアはターバンの海と化しています。
今でこそ和気藹々とした空気に包まれる黄金寺院ですが、ヒンドゥー教徒、イスラム教徒、そして当時インドを席巻していたイギリス軍との軋轢、衝突、差別、苦難の歴史を繰り返してきました。それらをふまえたうえで乗り越えて尚この寛容さというのは本当に頭が下がります。
それにしても大英帝国。人類が犯してきた過去の過ちを穿り返すのは生産性が無く、負の連鎖を生むだけなのかもしれませんが、アムリトサルの虐殺、あるいはアヘン戦争、アパルトヘイト、三枚舌外交と本当に下衆の極みとしか言いようのない帝国主義。
けどきっと彼等にとってそんなことはそれほど大きなことではないのかもしれません。過去の事は過去の事だし、彼らの信じる教義の世界ではそんなことすらも小さなことなのかもしれません。
この渦の中、イギリス紳士だろうが、地元の路上生活者であろうが、カフェ営業を休んで旅に出たヒゲメガネだろうが上下は無いということでしょうか。
アムリタ・サラスと呼ばれる人口の湖に浮かぶ金閣寺。
ビジュアル的にも現実離れなのですがさらにタブラとハルモニウムのライブ演奏をバックに経典を朗読する声がスピーカーで響き渡り、なんだかふわふわした気持ちになってきます。
アムリタ・サラス、即ち不死の池と現世。
アムリタの鯉
本当みなさん楽しそうで。
わりといかついイメージのあるシクの皆さんが鯉見てはしゃぎまくる姿は想像以上の癒し効果を僕に与えてくれました。
湖にかかる橋。ここを通って経典であり中枢でもある黄金寺院に向かいます。
そしてその周りを回遊する魚のように渦を巻く人の波。15年前にの訪れた時はなんだかカルトっぽくて怖い。。なんて思っていたのですが、改めて調べると世界で五番目に大きな宗教だそうです。
当時今の何倍もヒゲモジャだった僕は世界で唯一この場所でお前のヒゲ最高。と言われた事今でも覚えています。
それにしても人々の顔が明るい。
お子ちゃまもまた然り。いい顔しています。
ちなみに僕の大好きなプロレスラー、狂虎タイガージェットシンさんもシーク教徒なのです。あのキャラクターから信じられないほどの紳士と聞いていましたがこの場に来てなるほどと。さらに蛇足ですが火炎攻撃で有名なアラビアの怪人ザ・シークは首長をイメージしているようでこちらとは一切関係がありません。
前に訪れた時もそうでしたが15年前と同じく食事を皆さんと一緒にいただき楽しい時間を過ごしました。宿は、なんだか甘えすぎもよろしくないと思い、今回は寺院の外に。
それでもまた、翌日もこの渦の中で、横浜で過ごす日常の中では体感できない奇妙な一体感を感じるために寺院の中を彷徨うのでありました。
日が明け、太陽の光の下の黄金寺院。
貧富も国籍も性別も宗教すら関係なくリラックスできる空間。大げさに言うと世界平和のヒントのような物がここに隠されているような気すらしました。
日本でも話題になった映画、聖なる食卓の舞台にもなった食事の様子はまた改めてご報告させてもらいます。
最後にこれまた蛇足かも知れませんがあまりにもお見事なターバン男子の動画を見つけたのでリンク貼らせて頂きます。