yanbaru44陽も陰りを見せてきました。それにても沖縄の空は広い。
ゆっくりと染み込むように色彩を変えていく空。
日が暮れるということのダイナミックさを改めて感じます。yanbaru43目指す御宅はジャングルの谷の底にあると聞いていました。しかし果たしてこの道は正しいのか。
不安になりながら人里から離れてい行きます。
yanbaru50以前逗子にcoyaというカフェがありました。
これまた雑貨屋時代の先輩がフードコーディネーターの奥様と始めた本当に素敵なお店。
いわゆるカフェというものがよくわかっていなかった自分でしたが、お店にお邪魔して、初めてこんなお店を自分でもしてみたいと思う瞬間でした。
特に何かを直接教わった訳ではありませんが、今も昔も、世界でいちばん好きなお店で、カフェとは何かを考える時にいつも指針にさせてもらっている場所でありました。
一人の人間としても本当に素敵で、僕はいつも店長の西郡さんのように素敵な人に近づきたいと思い続けている、尊敬する人なのです。

で、そんな人に久しぶりに沖縄の密林の奥でお会いしたのですが、テラーン久しぶりだねーなんて言いながら釣り人が使うようなゴムのズボンを渡されて、ちょっと川渡るからさ、着替えてよなんて言い出します。
噂には聞いていましたが、いわゆる道から家までの間にザブザブと川を越えての訪問。
ハブ気をつけてね。なんて言葉が全く現実感を伴っていなくて、僕の暮らす日常とは少し違う世界に川を越えて訪れたような気持ちになります。名称未設定-572日々の暮らしのこと、一つ一つが想像を超えていました。
家作ったんだよーとカレー作ったように語る西郡さん。マキで風呂を炊き、川の水を利用して日々を暮らす姿にただただ胸が高鳴ります。

印象的だったのは、人間力を出し惜しみできない毎日だよとの一言。
まだ自分はこんなもんじゃないとか、何かのせいでとか、そんなこと考えている内にも大切な日々は過ぎ去っていきます。
有限の時間を一生懸命生きる、それは常に予定を入れるとかそんなことではなく、後悔のない時間を過ごし、今日もいい一日だったなと思って眠りたい。そして最終的に、そんな日々を繰り返していつの日か静かに終わりを迎えたい。ぼんやりそんなことを考えたりもしました。
名称未設定-568お食事も絶品!根本きこさんのお食事をいただくのはいわゆる3.11の前、カフェでのご飯以来でしょうか。
無駄を削ぎ落とした、素材の味がギュッと詰まったカレーでした。
美味しいご飯に感謝。ごちそうさまでした。

見違えるほど大きくなっていた息子さんとカメラで遊んだり、尽きぬ話をしているうちにあっという間に時間は過ぎていきます。
名称未設定-590帰り道、せっかくだから前住んでいた古民家も見ていってよとわざわざ夜の密林の中を案内してもらいました。
ちょっとそこまで、なんて言っていましたが軽いトレッキングです笑。

静かな森にせせらぐ川。しめ縄の巻かれた御神木。空からは大きな月明かり。
不思議とおっかないとかそういう気持ちは全く湧かず、ただただ静かな気に満ちた夜の森に身を任せて歩きます。
名称未設定-591移住やカフェの事とは少し関係なくなってしまいますが、個人的に抱えていた悩みを相談させてもらいました。

月明かりの下、山奥で人生相談なんてのも不思議なものですが。久しぶりに会って、いきなりの話を聞いてくれるだけでも嬉しいのに、驚いたのは全てうまくいく様にと言いながら、御神木に向かってお祈りをさせてもらうよと西郡さんは言うのです。
それは僕にとって想像もしていなかった事でした。

特に神仏を信仰しているわけでもないのですが、それは僕にとって一生記憶に残る事になると思います。
また他人の悩みのために真剣に想いを乗せられる人間がいるという事だけで、今では半ば形式だけが残って、そして何やら胡散臭いと思われがちな行為に大きな力が宿り得る、そんなことを感じた初めての体験でした。
それは世界中を旅しても未だよく理解できなかった僕の心に差し込んだ、木漏れ日のような月明かり。
人はここまで優しくなれるのかと、なんだか胸がいっぱいです。
名称未設定-743夜が明けて、那覇、そして横浜へ戻ってきました。
自分にとってすごくいいタイミングで、というよりは必要な旅だった気がします。

最後の方は少し個人的なことになってしまいましたが、ぜひ一人でも多くの人にやんばるを訪れてもらい、その魅力に触れてもらえたらと思うのでした。
僕もまた再訪したいと思います!

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