プシュカルの夜は最初、あるいは隣の部屋からの音漏れかと思っていました。
気にも留めなかったその音量が、徐々に、徐々に穏やかではない大きさに、しまいには宿の窓がビリビリ揺れるほどの大波。
何事?!と通りに出ると呆れるほどのハイテンションで演奏を奏でるバンドと灯りを持った女性。それに踊り狂う若者と好奇心そのものという顔をして行列を追いかける子供が群れとなって行進していました。
マーチの中にはひときわ目立つ白馬の王子。比喩ではなく本当に白馬に乗っておられます。おそらくは結婚式か。
すぐに沸点を迎えてしまう僕の興奮リミッターはいきなり絶頂に。
飛び入り、それも唯一の外国人がカメラ片手にタコ踊りをして許されるインドのお祝い事が大好きです。
夜を揺らすバンドの影。
ひときわキレ味鋭かったキッズ。
虹色の中で交差した。
突如ヴェーダの世界から滲み出してきたような光の行列。
灯火をさせる女達。
一布二人。効率のいい梱包に癒されました。
どこぞの御曹司、あるいはひょっとすると王子様かもしれません。
マハーラジャの影響がまだまだ色濃い大地の夜の宴。
羨望と、そしてほんの少し諦めが混じったような視線が印象的でした。
露骨にハイカーストなお坊ちゃん達も踊ってしまえば同じ命なのか。
インドギャル。正直可愛かったです。
僕も久しぶりに跳ね回って笑いまくって。
おそらくはヴェーダの頃、神話と現実の境界線が曖昧な頃から人々は本能で踊り喜びを表していたのではないでしょうか。
その頃から人には身分や裕福はすでに存在していたのか。
あるいは各自が一匹の動物として好きな時に好きな人と好きなように踊れたのか。
そんなことを思って踊っているうちに、いつの間にか我々は会場に。
まだまだ、おそらくは夜が明けるまで宴は続くのでしょう。
一生忘れられない夜になるといいですね。
末長い幸せを願います。