めったなことでは寂しいと思わないと思っていました。
みんなでわいわい出かけるのはもちろん楽しいです。
感動をわかちあい、思い出を共有する喜びは人生の醍醐味と言っても過言ではないと思います。
それでも一人でぶらりと出かけることの身軽さ。
直感で方角を定め、自分の速度で動き、飽きるまで滞在できる自由。
この旅の自由さもまた人生の醍醐味ではないでしょうか。
紙一重の孤独と自由。
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子供の時に読んだ星の物語。オリンポスの神々が夜空で繰り広げる冒険の話が大好きでした。
しかし年を追うごとに心ははるか遠い星や月よりも、次から次へと迫り来る日常の連続へ。
夜空を見上げる回数も減り、夜はただの夜。星はただの星でしかなくなってしまいました。
そんな星空に対する興味は無くなったわけでなく心の奥でくすぶり続けていたのでしょうか、
ある日ふと手に取った月面の写真集から宇宙への関心が急激に燃え広がりました。
惑星、衛星、小惑星、星雲、銀河。
完全に地球規模を超えた世界、確実に旅をすることができない世界になんだか切なさにも似た感情を覚えたりもします。
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宇宙には行けない。ならば何処に行くのかと考え、向かった先は国立天文台。
調布と三鷹の間にあるこの施設。時刻は夕暮れ。土地勘は全く無く、周囲はひたすら無人の住宅街。
日によっては望遠鏡を覗き何千、何万光年と離れた彼方を垣間見ることもできたのでしょう。
しかし駅から2,3人しか乗客のいないバスに乗ってたどりついたこの施設は本日閉館とのこと。
あまりに深くうなだれる自分を見て不憫に思ってくれたのか外観だけなら・・と散歩の許可を得ることかないました。ありがとうございます。
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しかし木枯らし吹き荒れる無人の天文台がここまでとは。
地球が球状であるならば最果てという概念は存在しないはずなのに、この天文台はこの日確かにこの世界の果て、地が終わる空との境のような不思議な感覚だったのです。
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一人でこんな所にいてはいけない。
荒涼としたその場から逃げ帰るように退散。
寂しさに打ちのめされた小さな宇宙旅行でした。

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