桜の花弁が風に舞い、一年で一番華やかな季節が徐々に幕を閉じていく。
少し寂しく、しかしこれから訪れる暑い夏への高揚。
こんな気持ちのいい季節には出かけたくて仕方なくなります。

埼玉と群馬の国境線間近の本庄市にやってきました。
当初のざっくりした目的はカレーを食べてのんびりと川のせせらぎを見るでしたが、近所に何か興味深い場所や風習はないものかと検索するとずっと気になっていたさざえ堂があるじゃないですか。
お堂の中の一本道を巡っていると、入ってきた場所とは違う出口にいつの間にか導かれてしまう。そんなトリックアート的な遊び心が特徴の建築です。
会津のそれが有名ですが調べると日本三大さざえ堂なるものがあり、その一角がこちらとのこと。
カレーもそこそこに、吸い込まれるようにさざえに向かって加速しました。

エントランスの小さな物産店を覗いていると、一風変わった獅子舞の面がどんと飾ってあるじゃないですか。
ずっと気になっている秩父方面の獅子舞なのですが開催土日がほとんどで未だ訪問できず。と思っていたら係の方曰く今朝獅子舞でしたと。平日、月曜、しかも今日の午前!!
心のタイマーを365日後にセット、気を取り直してお堂に向かいます。

薄暗いお堂の中は貸切。おそらくここ数日ぶりの来訪者なのではないでしょうか。
圧倒的な沈黙と視線。

人と違って神様、仏様には寿命がない(想像を絶するくらい長生きした末に寿命はあるのかも)けど、信仰の対象ではなくなってしまう、忘れられた時にその像はただの物質になってしまうのか、あるいはそんな儚くうつり気な人間のこともずっと前からわかっていて織り込み済みなのでしょうか。

上層部に行くほど仏像が印象深いものになっていったように感じました。漂う気配と言いますか、空気も濃厚なものになったように感じます。
四方八方に仏、天に花天井。
濃厚な立体曼荼羅の中に迷い込んでしまったかのような気持ちになります。

出口にはこの張り紙。ひんやり。
たまに戻ることができない極楽浄土、成身院百体観音堂さん。
GW未だ予定が決まっていない方におすすめの小さな旅です。

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