15151165_1320857947953916_864730921_n12月3日より山下裕さんの写真展、チベット、ハレとケを行います。
秘境とされているチベットのさらにその果ての日常と非日常をこだわり抜いた作品は圧巻の一言。
写真としての美しさだけではなく、山下さんのチベットとそこに暮らす人々への愛情、そして彼らが置かれている現状への懸念や焦燥のような想いが伝わって来る渾身の作品。
こだわり抜いたプリントも美しく、僕も本当に楽しみな展示です。
余談ですが山下さん本人の人柄もまた素晴らしく、そしてとても不思議な人なのです。ぜひ写真の話や旅の話を振ってあげてください。
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山下 裕 Yamashita Yu 1988年生まれ。東京都在住。
2011年に1カ月間滞在したネパール山岳地でチベット文化に魅せられ、
以来チベット自治区、青海省、四川省、甘粛省、他インドを繰り返し訪れる。
中国語とチベット語は挨拶程度しか使えず、身に着けたカメラと
数珠が重要なコミュニケーションツールである。
チベットの日常にある人々の素顔と心を記憶に残すため、写真にとどめている。

(写真展、はじめに)
今回の写真展(ハレとケ)は、チベット文化圏を旅した際の写真である。
中国からインドに広がるチベット文化圏は、目的の寺や町へ辿り着くために
標高4000mを越える山々をバスで2.3日かけて移動しなければならない。
その道は悪路の連続であり、高地特有の寒さと強烈な日差しが私の体力を奪う。
夜遅く、宿泊部屋に10人程の公安が突然押しかけ、長時間にわたる尋問の末に
夜明け間もない街から放り出されることもあった。
このような経験をする度に、日本から来た私は公安にとって外から来た異質な者であり、歓迎すべき対象ではないのだと思い知った。
その地に住まう人々はというと、カメラをぶら下げ大きなバックパックを背負った私を
訝しむことなく家の中へ招き入れた。彼らは当然のように温かいバター茶や食事を振る舞い、私がチベットの魅力に魅せられていると分かると、彼らの信仰に不可欠な仏具や優しさを惜むことなく与えてくれた。人懐っこく謙虚な人柄を見せる一方で、祭という非日常空間のなかでは勇ましく馬を駆り、
色鮮やかに舞踊を舞い、静かに、そして厳かに五体投地を夜通し行う。
それらの姿からは生きる力強さを感じると同時に、恐怖とも似た感情を抱かされる。
競馬祭は、はしゃぐ人々の笑い声や野次にも似た声で賑わい、大草原に馬の鼓動が響く。チベット正月(ロサール)の祝いでは、チベットの山々に美しくも情熱的な祈りの声や、舞踊の音が響き渡る。
そんな彼らの日常と非日常(祭)の姿を、本写真展で伝えられたらと思っている。
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