今僕たちが住んでいる世界と物語の狭間を旅するような展示を見てきました。
ブックスカルプチャーと呼ばれる世界を一冊の本から作り出すアーティスト、スー・ブラックウェルさん。
本をえぐり、切り取り、その破片を再構築する事で生み出される世界は幻想的で美しく、はかなく危うい。
霧深い森の奥についつい入り込んでしまう物語の主人公のように僕もまた存在しないはずの世界にいつしか迷い込んでしまう気分でした。
灯台とおそらくはその守護者の家屋。
なぜだか昔から岬に憧れを抱いて生きています。灯台ゆずって下さる方募集中です。
読む人の想像力に応じて無限に広がる書の世界と大海原。
スー・ブラックウェルさんの今回の展示のタイトルはdwelling~すみか~。様々な家や小屋が本の上に建てられています。
印象的なのは人里離れたその立地と、窓からこぼれる室内の灯り。
今も昔から物語は自分の理解や認識の外側の世界への畏怖や妄想から生まれ膨らんでいく物なのでしょうか。
ツリーハウスもまた寓話と現実の狭間の建築なのかもしれません。
御存知ですか海底二万マイル。
子供の頃住んでいたプエルトリコで言葉がわからない僕はしこたまディズニーチャンネルばかりを見ていて、その頃にいたく興奮した記憶が淡く残っています。
宝島とかファンタジアとかかっちょよかった。もう一度見てみたいです。
CGやアニメーションが現実を凌駕する勢いを持つ昨今だからこそ久しぶりに活字の世界にどっぷりつかりたい今日この頃。
展示は6月14日までとのこと。ご興味ある方は是非。
お次は仮面。
目黒、庭園美術館で行われているマスク展。
旧朝香宮邸の中に浮かび上がる様に展示されている世界の仮面。
アールデコの内装とプリミティブな衝動を具現化したようなマスクは不思議と調和し、どこかフェティッシュな艶やかさで、なんだかざわざわした気持ちになりました。
それにしても庭園美術館。長らく改装のため閉館していましたが久しぶりにやはりこうしたお屋敷の中で鑑賞する展示は趣があって大好きです。
原美術館、あるいは先日訪れた大山崎山荘美術館。
特に昔、庭園美術館で見た舟越桂さんの夏の邸宅は思い出しただけでじんわり汗ばむ迫力でした。
ところでいつも僕は目黒と目白間違えます。白金が目黒の近くにあることが原因なのはわかっているのですが。。
鑑賞後にピクニック気分でまったりできる庭がまたいいじゃないですか。
6月30日までの展示のようです。
最後に横浜美術館で行われている石田尚志さんの渦巻く光。
旅を好きになったきっかけはイスタンブール、サッカーを好きになったきっかけはイブラヒモビッチ。
そんな感じで僕が現代美術が好きになるきっかけを与えてくれた尊敬する作家さんなのです。
今回久しぶりに新作を拝見したのですが、完璧に四次元。
忍び寄るアラベスクの様なツタ模様、気が付くと燃えている椅子!何を言ってるのかわからないと思いますが僕もよくわかっていないです。
世の中には言葉なんかにできないとんでもない事があるということでしょうか。
アートではなく芸術。凄みを教えられた気がします。
こちらは5月31日までです!お見逃しなく!