今お店の壁を使って展示してある八重山の写真について少し説明をさせてもらえたらと思います。
環太平洋、円を描くように広がっていく島の国々。
そして、それぞれの島が持つ文化とそれぞれの島が属する国が持つ文化もまた円を描くように溶け合い、それは時代の移ろいと共に薄く淡くなっていくようにも思います。

日常から視線を南に向けると、青い空と海、そこに湧き上がるように密生するマングローブの密林。
僕が特に興味を示したのがこの色濃い、蒸せ返るような生、性、精。そして何よりその先に必ず訪れる終焉と朽ち果てたその後。

種子が息吹き、覆い繁り、そしてその後土に還るその速度。
波の向こうにあるとされる魂の帰る場所ニライカナイと110km先の台湾。
暗い夜の先にある世界から、ソーロン、即ち旧盆に訪れるウシュマイ、ウミー、そしてファーマー。
異形と笑い踊り明かすアンガマの夜。
そして天から直接差し込むような日差しと日差しの間、楔を打ち込むような一瞬のスコールの先でミルクが人々を先導するムシャーマ。

死後から目を背け続ける僕の日常の隣、穏やかで艶やかな八重の島の生の先。
死の先は一方通行でなく、また時と共に淡くなる世界とは異なる理。
自分もいつの日か土に溶け、波を彷徨い、やがてまた蒸せ返るような夏を感じたいと思いました。









やがて海を越えて還る。

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