銀座で気になる展示をぐるっと巡ってまいりました。
guardian guardenで田中大輔さんの火焔の脈、森岡書店で川内倫子さんのhalo、シャネルでアラーキー、ニコンで鈴木恵理子さんのナムジャイ、富士フォトギャラリーなどなど。
個人的に一番印象的だったのは
銀座ニコンサロンで開催中の紀成道さんの展示、touch the forest,touched by the forest.
北海道の森の中、心に病を抱える人達が森林の中で安らぎを見つけ平穏を取り戻していく施設のドキュメンタリーです。

今は無きコニカミノルタで展示を拝見した時にも強烈な印象を受けましたが、今回は点数も多く、また直接木板にレーザーでプリントした作品も展示してあり、感じる印象や解釈にもより深みを感じたような気がします。

森の中の精神病院というとどうしても偏ったイメージで切り取った写真を想像してしまいますが、不気味で不吉な印象はなく、それでいて淡々と治療が行われている現場としてレポートしているわけでもない、不思議な物語の中に迷い込んでしまったような独特の浮遊感のある世界を作り上げていて、それが本当に素晴らしいのです。
空を飛ぶ飛行機、木片を集めて作ったシンボリックなオブジェ、サングラスに映る樹林。心の中の何かが具現化したような、象徴を見つけ出し、切り取り、再構築するスキルは本当にすごいと思うのです。

森を感じるとき、森からも我々を感じられているのでしょうか。
作家自身も森の中を彷徨うことで日々の生活の中で生じた霧のようなものがすっと晴れていくような経験をしたことがあるとおっしゃっていました。
精神と木々。
まだまだ深い森の奥には理解とは違う形で我々の心と繋がる何かがあるのかもしれません。
写真集も一枚一枚北海道の森で拾ってきた葉を挟み込んだ表紙が印象的な素晴らしい作品でした。
ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

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