少し遡ってしまいますが、先日お店の本棚に一冊の写真集が加わりました。
A window of Jumma
正直、あまり馴染みのある方は少ないのではないでしょうか。水の国バングラデシュ。
そのバングラデシュのさらに奥、南東部ミャンマーとの国境、チッタゴン丘陵地帯。
そこに暮らすジュマ、ジュンモと呼ばれる人たちが暮らしています。
美しくものどかな日常や祭り、イスラム教国バングラデシュにおいて彼らが信仰する仏教との関わり、そして彼らを取り巻く問題がこの本には収められています。

先日行われたミャンマーの写真の展示に遊びに来てくださった映像作家のナツミさんは普段はバングラデシュで暮らしているそうです。
作品作りで訪れたバングラデッシュに惚れ込み、そこでジュマの人々に出会い、彼らのことをより多くの人に知ってもらいたいという想いで映像を今も作り続けています。

この土地は一体誰のものなのか。異なる民族、宗教を持つものが同じ国で暮らすことはできるのか。少数派は常に多数決が正義とされている今の世の中で安らぎを得ることはできるのか。
この世には絶対の正義や悪はなく、自分自身と同じか異なるイデオロギーの対立だけが存在するのかもしれません。国には国の言い分があり、ジュマにジュマの言い分があります。

願うことは、とにかく知ってほしい。そして考えてもらいたい。
これは遠い国の話ではなく、同様の問題は世界中に、そして我々のすぐそばでも起きていることなのかもしれません。
今解決の糸口が見えない問題でも多くの人が知ることで、考えることで、理解の輪が広がり、安らぎが訪れることを切に願います。

ムービーはナツミさんの作品です。ぜひご覧になってみてください。
これほど暴力や涙が似合わない風景もそうないと思いました。
1日も早く双方にとってより良い未来が訪れるように。

ナツミさんにジュマの人々が今抱えている問題を分かりやすく説明してもらいました。よかったらご一読ください。

バングラデシュの南東部、チッタゴン丘陵地帯という場所に、Jummaと総称される11の少数民族の人々が暮らしています。彼らは、この国の多数派であるベンガル人とは異なる文化、宗教、言葉などを持ち、その立ち位置や異なりによってここで様々な苦労を抱えて暮らしてきました。
1973年に、人権や土地問題等を訴えて政府と少数民族間で内戦が起き、92年の和平協定を以て、多くの人々が問題解決を迎えて平和が訪れると信じたにも関わらず…当時の約束は未だすべて守られていないまま、現地では村の焼き討ちや襲撃事件、軍の駐屯や入植政策、それに対するデモ活動と…緊張関係が続いています。外国人入域規制(入域許可証が必要)という制限も紛争時から敷かれたまま、中で起きていることや現地の人々の声はなかなか外へ伝わって来たり、私たちと繋がる機会も少ないです。
現地の様子を写した写真も少し載せさせていただきます。
写真はナツミさん、そして現地のカメラマンの方の作品を使わせていただいています。



Jidit Chakmaさんの作品
Kong Chaiさんの作品
Sanchoy Chakmaさんの作品

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