その日、楽しみにしていたお祭りを見にケララの州都コーチンからはるばる南のティルバラという街まで列車に乗って旅をしました。
鉄道の旅、特にインドのそれは自分にとって少し特別な、単なる移動手段を超えた、日常の自分の周りに流れる時間と完全に乖離した流れに身を委ねる、旅の通過儀礼のような存在ではないかとすら思っています。
それが最も集約された存在、それが駅。
汝、床で眠って何を待つ。と問いかけたくなるほど、いつでも、そしてどの駅でも眠っている人がいるのですが、出発の時刻に来ない事情やメリットがあるのか。おそらくそういう問い自体が空虚。
空に雲が流れるように、食事は全てカレーでよろしいように、そういうものであるのだと。
駅からまたリキシャに乗り山の中へ。
結果から言うと前日の夜で終わっていました。そして終わっているだろうということも薄々気がついていました。それでもやっていますと言う人がいたので一抹の思いを胸にやってきたのですが。。
そこは名前も知らないとても小さな村。
もしかすると初めて日本人が来たんじゃないかと思うほどの歓迎っぷり。派手にすべったのですが、また来るからねー!みたいな謎のハイテンションでわずかな滞在に別れを告げました。
お土産?に甘いお粥スイーツみたいなのいただきました。とても甘く美味しいのですが、なぜだかほろ苦く感じる、南インドのブルージーなひと時。
まぁまぁ遠く、そして気温はかなり暑く、スベりにスベった疲労もじわじわ効いてきて。こんな日もあるさと宿に帰ってふて寝しようかと迷ったのですが、ここは南国。いきなり海水浴に行ってこの悔しさを海に流したる!といった謎の啓示に全身を打たれビーチにフェリーに乗って向かうことにしたのです。
フェリー超混んでるわ、港からビーチ遠いわ、日も暮れかけるわで、本日2度目のスベり重ねかとハラハラしましたが人間、海が見えるとほとんど全てがチャラになる機能が魂に付属されているのでしょうか。海じゃ!と魂が爆上がり。
春翠さんも海に突撃。
ひたすら波と戯れ、砂に塗れ、地元の方々に抱っこされ。
ようやく来てよかったなと、帰りのフェリーを港で待ちながら、真っ赤に染まったマラバールの海を見て思うのでした。