ダージリンの話を少しさせてください。
紅茶で有名なこの街はベンガルの肥沃な大地とヒマラヤの天空世界を結ぶ中継地点のような要所であり、同時に平野部の猛暑から逃れてくる人々の一大避暑地として発展を遂げてきました。

そんなダージリンには19世紀のイギリス統治時代からの遺産、トイトレインが走っています。玩具のようなちんまりしたボディは急な傾斜とそのほとんどがカーブという山岳特有の事情を考慮してカスタムされたものだとか。
そしてこのトイトレインは今でも蒸気をほかほかさせながらダージリン駅とグーム駅の間を観光客を乗せ走る現役なのです。

正直チケットは結構高額。そしてめっちゃ遅い。
おまけに細っそい山道で慢性的に渋滞しているのに、このトイトレインが一日数回定期的に通行止めを作り出し大渋滞を作り出していました。
そしてうっかりベビーカーを持って旅をしてしまった我々にとってこの渋滞山道はまさに修行。背中にリュック、お腹に赤子、そして肩にベビーカー。
これは真っ直ぐ修羅の道。

それでも乗ってみました。せっかくだし。
方向的には登ってきた修羅の道を戻るし、この列車に乗ったおかげでその後の乗り合いジープに間に合わないし、俺以外の家族とうもろこし食べて早々に寝ているしでマジかよってなりましたが、それでも露天のおばさんや通勤途中の学生さんが野良牛とすれ違うくらいのテンションで空気を少しも乱すことなく生活の時間が流れていく風景、車窓から眺めているとだんだん気持ち良くなってきてしまいました。
車窓をよく眺めるとインドとネパール、そしてチベットといったさまざまな文化が混じり合う文化は景色にもよく表れていました。タルチョが洗濯物のようにたなびき、グルカの名前を冠した宿やレストランが軒を連ね、謎のテンションの乗客の皆さんと記念撮影をこなしたり。ガヤガヤしているのですが、高地特有の澄んで静かな風が吹き抜ける街並み。
終わってみればほっこりした気持ちになりました。

色々不満や上手くいかないことが重なってしまったダージリンですが、絶品の紅茶を飲みに、また、その先のヒマラヤの風景を見るために再訪したいと思うのでした。

 

 

 

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