広いインド世界で滞在先に選んだのは南インドケララ州の港町コチ。
実はずっと気になっていた怪しいお祭りに参加するためこの時期、この場所だったのですが、出発数日前になってそのお祭りが今年は原因不明の消滅という切ないお知らせを聞かされ失意と困惑を抱えたままの訪問となりました。
それでも来てしまえば全てが懐かしいマラバールの潮風。

到着が真夜中だったこともあり滞在は街の中心部のエルナクラム。そこからジェッティと呼ばれる旅情たっぷりのフェリーに乗ってフォートと呼ばれるポルトガル、オランダ、そしてイギリスの統治時代に栄えた旧市街を久しぶりにそぞろ歩いてみました。

海峡の渡し船ジェッティは10円ちょいで乗れる、まさに市民の足。
まどろむ空気感が持ち味ですが、滞在の後半になると祝日が重なり、沈むんじゃないかっていうほどの乗船率の日も。

キャプテン含めて誰一人前を見ておらん。

途中であった謎の帆船。セントエルモの火かと目を凝らすと、アトラクションなのかマストの上にクルー総出で直立の謎。

最初にコチに来たときは25年前にもなるでしょうか。その頃、街の名前はコーチンでした。
今も昔も変わらないチャイニーズフィッシングネット、カタカリ、美味しいフィッシュカレー。
なんだか僕だけだいぶ変わってしまったかもしれません。

聖フランシス教会。500と1年前に亡くなったバスコダガマが眠る場所でも有名です。ゴアで眠るザビエルは覚えていましたがこちらは全く覚えていなかったのでびっくり。
彼が「発見」したインド航路。インドにとって、世界にとってそれは避けられないグローバルな世界の始まりだったわけですが、イベリア半島に太陽が沈まなくなる反面、それ以外の国々の受難の始まりだったかと思うと複雑な気持ちになります。

もう一つ、サンタクルス大聖堂。
歴史遺産として貴重なだけでなく今も昔も信仰の場としてとても清らかで美しい存在。ぐずる春翠をあやしてくれる現地のマダムたちに最大限の感謝と敬意を払いたいです。


そしてコチを訪れた人がおそらく皆、普通にビビると思うのがそこらへんに生えている樹。どこの御神木かと思うほどに巨大で生命力に満ちている。
日が降り注ぎ、よく雨が降る。そして何より人々の生活が自然と調和していることが素晴らしいと皆が知っている。そんな印象を受けました。

何年生きてどれほど土足でこの土地に入り込んでくる人を見てきたか、知るよしもないけれど、どの時代も地元の人々に木陰を提供するそんな存在であってほしいと思うのでした。

 

2 thoughts on “営みと教会と大樹と。フォートコチへ”

  1. 世界が、グローバル化していくきっかけになったインド航路発見…
    目まぐるしく世界中が密になっていく…複雑になっていく…苦難にもなっていく… そこにある街、寺院、大きな大きな樹、

    生で感じるのは、色んな気づきがありますね…

    春翠くん、あやしてもらって良かったですね。

    1. こんにちはスタッフ柚希です。

      中澤さま コメントありがとうございます。
      そうですね、町のいきいきとした熱気と人のあたたかさに直接触れる暑い旅でした!

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