突然ですが、以前から気になっていたベンガルの放浪する吟遊詩人バウル。
その正体はいかに、と思い以前より色々調べ物をしているのですが、その謎のベールは想像以上分厚く、インターネットでカチカチ検索するだけでは中々その実態は全く見えてきません。
エクタラという一弦の楽器を手に隠喩に満ちた歌詞を歌う彼らの存在は霧のように曖昧で、そして浮世離れした魅力的を感じ続けていました。
いわゆるシンガーソングライターとバウルの違いは何か。そもそも詩人とは何か。
そんな中、今回訪れたイベントの主催は、以前よりお知り合いの井生さん。インドのカルチャー、特に音楽をベースに日本にそのディープで興味深すぎる文化を紹介している方なのですが、ついにやってきましたバウル!
こりゃもう行くしかないっスと鼻息荒くして会場に飛び込んだのでした。実は自分も以前にyoutubeで見て、これはただ事じゃないぞと見入ってしまったバウルのアーティストさんがいて、その方がパルバティ・バウルさん。
その特徴的なドレッドに目を奪われがちですが、歌、というか祈りにも通じるようなエモーショナルな詠唱は動画越しでも非常に強烈な印象を受けました。
そんなパルバティさんが来日されるということで、今回はその宣伝も兼ねたイベントだったのですが知れば知るほど興味は尽きない深い精神世界。
エクタラを右手に左手には太鼓、そして足のアンクレットでリズムを鳴らす。
その姿は踊っているようでもあり瞑想の中漂っているようでもあり。
今回のイベントではそのパルバティさんに師事されていらっしゃる日本人のバウル、トモミさんの歌を聴くことができました。
曲は見知らぬ鳥。
その歌詞を少しだけ。

見知らぬ鳥よ
どのように、その籠を出入りしているのか
摑まえることさえできたら私の心の足かせをその足に付けるのに

八つの部屋が九つの扉で閉じられていて
中では火が弾けそのてっぺん、聖なる階段の先には鏡の間

と、ものすごく不思議な世界感。愛しているんだぜベイベーといった感じでは全くないのです。
解釈の説明をしていただいた後に実際の歌唱を聴かせてもらいました。
そしてこの不思議な詩の世界の本の日本語訳をクラウドファンディングで資金を募っていたのですが、先日無事に達成とのこと!
僕もバングラ、あるいはインド側の西ベンガルで彼らの歌を聴きに行きたいなと思う次第であります。

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