名称未設定-183クリスマスの早朝に羽田を旅立って霧のコルカタミッドナイト。そんな感じで慌ただしく始まったインド旅でしたが、お正月は聖なるガンガーの畔りヴァラナシでなんとか無事に迎えることができました。
そんなめでたい2017の初っ端から振り返ること約365日。
あの頃、僕は崖の下。血を吹き出しながらメガネの右側を探していました。
名称未設定-013-2場所は奥三河。愛知と長野と静岡が交わる場所。
山が終わり人里が始まるのではなく、土と人がそして人外の気配が遠慮なく主張し合い交わっている。そんな津具という集落の白鳥神社へやってまいりました。
前回に訪れた時は豪雪のため訪れることができなかった土地です。
噛みしめるように真夜中の石段を登っていきます。
名称未設定-023これまで訪れた地区とは違い津具での会場は神社。
そこの差異が僕には何なのかははっきり言えませんが、今まで訪れた集落とは少し雰囲気が違うような気がしました。
名称未設定-052しかし演者と観客の一体感、距離感は変わらず。おかめのような面をつけた方が味噌のようなものをギャラリーの顔にペタペタ貼り付けていきます。僕もがっつり付着させてもらいました。嬉し恥ずかし。
名称未設定-054ややもすると榊鬼を中心とした鬼ばかりにフォーカスしがちだった花祭ですが、他の面も見る角度で表情が変わる楽しさと妖しさに心を奪われました。
名称未設定-073自宅からの運転の疲れからか少しうつらうつらしつつも、その半覚醒がむしろ心地よく。
焚き火の方から木が爆ぜる音、そしてテホヘ、テホヘという独特の反復する掛け声はどこから聞こえてくるのでしょうか。
名称未設定-155

名称未設定-162

名称未設定-860夢から覚めると目前に鬼がいました。
山見鬼!
一度目は時間を間違え、二度目は雪にビビって。
腰を据えて、向き合えるこの時間にただただ感謝です。
名称未設定-248そして榊鬼。
花祭の主役とも言える鬼。
集落ごとに異なる仮面があるのがこの花祭の魅力の一つ。目がぱっちり開いた顔立ちは実にハンサム。明治25年の作品だそうです。
名称未設定-286そもそも鬼とは何なのか。実に興味深いです。
日本という国の誕生の頃にはすでに存在して、我々の住む現実という理には存在しないはずなのに、鬼を知らない日本人は今も一人としていない。

国の外から来た何者かを差別しているのか、ただの空想の産物なのか、嫉妬や欲望をコントロールできなくなった人間だったものなのか。
あるいは気がついていないだけで今もすぐそこで息を潜めているのか。
名称未設定-351いずれにせよ僕はそんな存在が目の前で躍動してる瞬間を本当に愛おしく思います。
いるはずのない存在がいる。それも人間以上の存在が。
仇をなす存在としてではなく敬う対象として。敬虔な気持ちが胸に宿ります。
名称未設定-195細く、儚い存在かもしれませんがその存在はまた次の時代にも受け継がれていく。
それは伝統を守るということだけでなく、象徴として穢れを担う鬼のような存在が必要なことを本能的に我々は知っているからかもしれません。
名称未設定-390
名称未設定-405
名称未設定-412感無量でございます。
燃え盛る焚き火で最後の暖を取り、夜の境内から駐車場に戻るため暗い石段を下っていきます。
この時に嬉しさのあまり、迂闊の極みなのですが、SNS投稿をしようと鬼now!みたいなことを綴りながら歩きスマホをしていまして。
名称未設定-417気がついた時には空中をぐるぐる回っていました。妖の神通力か。数秒か数分か何が起こったのか考えられず。
わかるのは顔の右側から吹き出る血液。
痛いとか困ったというよりは、僕生きていますよね的うわごとを繰り返し、しばらくうずくまってしまいました。
しばらくしてメガネの破片やカメラや何やらを暗闇の中回収して車に何とか戻ってくることができました。
血を拭い、とりあえず落ち着けとなぜかセルフィーしたり。
この時も足はまだガクガク震えていました。
名称未設定-001-4一件だけ営業しているコンビニが奥三河にあることを確認して何とかそこまで裸眼を振り絞ってたどり着きセロテープを購入。
何とか視力を取り戻しました。
ここから直帰も考えたのですが。。
まだ暫く血液滴る旅路は続くのでした。。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください