上野公園のそのさらに先、東京藝術大学で行われていたロバートフランクの写真展。
ちょうど最終日の今日、展示の終了と共にそのプリントを破り捨てるという大胆な試みを行うライブパフォーマンスを訪れました。
実に御歳92歳。移民として訪れたアメリカを旅しながら撮った、その名もthe Americansという写真集で一躍写真界で旋風を巻き起こしたロバートフランク。
その数々の偉業によって生きながらにして彼の名は伝説になりました。そして高まる名声と共に比例するのはその写真の価格。
そんなお高くとまった常識をあえてぶち壊すというコンセプトが込められた、世界50ヶ所で行われるというこのアートプロジェクトです。
手を組んだのは世界一美しい本を作る男、製本家のゲルハルト・シュタイデル。彼の製本魂は映画にもなったほどです。
入場料は無料、図録は格安。癒着したアートとビジネスに一石を投じる新聞紙に印刷された写真空間とその破壊。
作品を引き裂いてくださるのはいわゆるコンテンポラリーダンサーの皆さん。
ライトで暗闇を照らしながら踊る美女。双生児、あるいは鏡に映る姿。
風船を持つ白い顔の女の子に誘われて舞台は二階に。
何かに取り憑かれたように、ペンで写真にメッセージを残す、そして最後に落ちている道具を拾って作品を作れと促すワンピースの女性。
入り組んだ会場の暗闇を照らし、徘徊します。
そして作品を絞り上げる。
台風が過ぎ去ったか後のような風景。
本当に圧巻のパフォーマンスでした。
そして演者が変わり、彼女たちは二階に移動しようと促します。
ここでまた演者が変わりました。ハイヒールで鉄骨の上に立つ姿はどこかもう神がかっていました。
パフォーマンスのバトンはいつしか観客にも。
床に散らばる小道具とフランクの写真で作品を作り、そして大きなビニールで作られた器の中に入れていきます。
見えにくいですがズラの中に英国産のティーパックが複数忍ばせてあって。フルーティーインザUKと名を打たせてもらいました。神がかった表情で踊っていたダンサーの皆さんも笑顔で謎のオブジェをこしらえていきます。
最後にワンピースのお姉さんが別れを惜しむように、というよりは嚙み締めるように、ゴミの中をのたうちまわっていきます。
展示と少しダンスがあって作品を切り裂いていく感じなのかなと思っていたので、その遥か上をいく写真との決別方法に呆気にとられ、何よりも興奮した一夜となりました。
それにしても、先日の横浜でもそうでしたがコンテンポラリーダンス面白い。
何か面白い演目やアーティストさんご存知でしたら是非教えてください。