弛緩しきった凪から一瞬にして雷鳴。気まぐれな大海原を思わせるいきなりの緊張感。いよいよ故人がトンコナンハウスを離れて墓地へと向かうその時が訪れたようです。
なのに、その瞬間に一緒に写真撮りましょう!とヤングなギャルから嬉しいお誘い。って今か!
まぁ、断りますよね普通なら。。僕は撮りましたけど。。
なんだかゆるい空気に甘えていましたが、この瞬間はお葬式なんです。
南国のスコールのように嘆きの暴風雨が突然に。感情が高ぶりすぎて意識を失う子も。
悲鳴と怒号が吹き荒れます。
僕も最初目を疑ったのですが若い衆が担いだお棺をまるでお神輿のようにわっしょいわっしょいと囃し立てるように運び始めて。で、それを追いかけるおそらくは親族の方々なのですが、ものすごい叫び声をあげながらこの若い衆を追いかけ、あの子を返せとばかりにひっぱたくのです。
これは・・!!と思い止めに入るべきなのかと思いガイドさんに指示を仰ぐと、いつもの事さねと涼しい顔。
これは勝手な考えなのですが、煽ることによって辛い感情、痛みや苦しみを最大限開放することによって少しはやりきれない気持ちが和らぐこともあるのではないでしょうか。
本当のところはわかりませんが、僕はそう思うのでありました。
坂を下り、そしてまた坂を登り。大騒ぎを繰り広げながらいつしか棺は村はずれに。
兄妹か、幼馴染か。その涙を見て、僕も本当に悲しい気持ちになりました。
ようやくたどり着いた村はずれの墓地。そこでおっさん、おもむろに鶏を抱えてお墓に飛び乗ります。
なんでもこの鶏を放り投げ、それをキャッチした者が勝ちみたいな感じです。
ウェディングのブーケ的な。。
投げるよー!投げちゃうよー!!フェイントを混ぜながらここでも煽る煽る。
オチから言うと散々引っ張っり放り投げた結果、誰もキャッチしきれず、その鶏に藪の中に逃げられ、見失ってしまったようです。。さすがにちょっとしょっぱい空気が満ちてまいります。
まぁ、そんな外部でのドタバタを尻目に棺は箱の中に。
キリスト教と元々この土地に根付いていた宗教が混じり合ったのか。どこかクリスマスを連想させるような、なんとも言えないデコレーションで彩られた看板。
そしてどうやらこれを持ってこの村の、この世からあの世に若い命を送る儀は終わりになります。
改めてご冥福をお祈りします。
お世話になった方々に別れを告げ、僕も帰路につくことに。
ファンキーな妖怪オババの檳榔パフォーマンス。いい土産頂きました。
角と骨の十字
憂いを抱く少女。
そしてそのお母さん。
そしてそしてそのおばあちゃんとミラニスタの坊主。
三代にわたって美女!
だんだん恒例になってきた変な多重露光。空はどこまでも青く、緑豊かな山の空気。
旅の空を吸い込んで里に帰ることにします。
亡くなった方のお名前はお伺いしたのですが、この村の名前はなんと聞き忘れてしまって。
旅の醍醐味ってこういう気持ちだったよねと思い出すそんな訪問でした。
またご縁に導かれて訪問することがあるならば次は何かめでたいハレの日に訪れることができたらいいなと思います。
- 南葬01 山中より漕ぎ出す
- 金曜日までお休みをいただきます。