清涼感とはにかみを含んだような風が心地よい、無限に続く水田の中を勢いで契約したガイドのおっちゃんの後部座席に座り北へ。
目的地はお葬式が行なわれているという村。そんなわけでして我々はどでかい真っ黒のタスキのようなものを羽織って、なんというか、漆黒のちくわのような奇妙な出で立ちで山の中の小道を縫うように走っているのでした。
それにしても山深い。スクーターで訪れたのが運の尽きか、勾配が急すぎて僕が這い登らなければならないような獣道や板一本置いただけみたいな橋をヒヤヒヤしながら越えて奥へ進みます。
それに伴い集落のトンコナンと呼ばれる家屋も徐々に気合いと年季の入った仕上がりに。
誇らしげに並べられている水牛の角に息を飲みます。
このブルヘッドを見よ!!こんな家に僕も住んでみたいと心より思います。
ようやく目的の集落に。
周囲に外国人の姿はなく、場所が場所なので極力目立たないように隅から隅へそそくさと動くのですが、何かしらあのヒゲメガネ?!的な囁きはいつしかどよめきに。
僕も怪しいものじゃありません!とあたふたするのですが不審っぷりは増すばかり。。
それでも集落の人々は本当に優しく、席を用意してくれたりお茶をすすめてくれたり。。
もう15、6年前になるでしょうか。初めて長い旅に出た時、モンゴルで、ラオスで、パキスタンで、そしてシリアで。
完全に場違いなほどの田舎の集落に迷い込んでしまった時に感じたこの温かい感覚。
どんな村にでもインターネットやスマホが行き渡り、もうこう言う未知との遭遇みたいなリアクションされることもないのかと思っていましたが。。
ガイドさんを通してご挨拶をすると、逆によく来てくれましたみたいなものすごい紳士的に振る舞ってもらえて、正直驚きました。
村長さん的な方と、その後ろの美しいトンコナンハウスの彫刻された壁。
案内していただいた遺体安置所。6月、7月、8月に集中すると聞いていた葬儀。
秋に亡くなられた方は結構な月日を待たねばいけないことになります。
不謹慎極まりないのですが気になる匂いもなく。
さすがに写真は。。と思っていると皆さんから撮れ撮れと。
さすがに少し居た堪れない気持ちになって散歩。いわゆるトンコナンハウスには二種類あって。屋敷でないものはこう言った倉庫のような役割を果たしているようです。
おっちゃん達を中心に集落でのおしゃべり会の会場となっている模様。
キッズもまた集います。トラジャTの大人びた雰囲気を持つ少女。
孫を愛おしそうに抱くおばあちゃんほど愛の詰まった存在を僕は他に知りません。
出会いと別れの数は一定なのか。悲しみと喜びは常に表裏一体だと肝に銘じて。
広場ではながいスピーチ(?)が終わり、おもむろにランチタイムへ。
おばばを中心にすごい量の米が搬入されはじめました。
このライスと、前日に屠った水牛や豚を茹でて、いらっしゃったお客様に振舞ってくれるのです。
豚は、なんというかとんしゃぶみたいな感じで。結構美味しかったです。ゆずぽんが欲しくなる感じです。
しかし水牛はなんと言いますか。。牛毛とかも結構生えていて、なかなかワイルドです。
ちなみに写真は村の中にあった牛骨。目光るんでしょうか。。。
ていうかお葬式はどうなった??
仲良くしてもらったフィールドワークに来ていた都会の女子大生。洗礼された美もまた素晴らしい!
男子大学生の写真も撮りましたがあえて女子のみ載せさせてもらいます。。
パラボラ少女。
少年の目つきは鋭く。
そんなこんなしているうちに、食事を終えてまったりした広場に戦慄が走ります。
緊張感と共に若い衆がドヤドヤ安置室に入り込み出します。
部屋のなからは泣き声と叫び声。何かを怒鳴り捲したてる若い衆。ものすごい喧騒。
さっきまでの牧歌的な空気は一瞬で断ち切られました。
- インドネシア定食!
- 南葬02 一羽、嘆きを超えて