ジャイプルからの、今時インドでも珍しいほどのボロバスは深夜にプシュカルへ。いい加減慣れた国とはいえ昨日と今日の境目みたいな時間に着かれるのはさすがに困ります。
しかも他のラジャスタンの町と違って初めての訪問です。平和な村だよとは聞いていましたがはたしてはたして。。
心配は全くの杞憂。メインストリートは遅れてきたヒッピー、浮遊者たちでにぎにぎとしておりました。
カフェの名前がピンクフロイドだったり、ツーリストは老いも若きも、男女問わず記録的なドレッド率。ヨレヨレインド綿に身を包み、中にはジョイントふかしたままお散歩していたり。
今や古典になりつつある古き良きヒッピーが狂い咲きできるサンクチュアリ。
ところでブラフマー、ご存知でしょうか。
ヒンドゥーには三人の偉大とされている神様がいて、シヴァ、ヴィシュヌ、そしてここプシュカルで崇められているブラフマーです。
何かと派手な二神と違って、何というか観念的な存在かと思っていたのですが、先ほど色々調べたらヒラニヤガルバなる黄金の卵を用いて宇宙創造されたとか。えらいことです。
そんな偉業を達成したにもかかわらずいまいち人気がないブラフマーを崇める聖地がこの湖を中心としたプシュカルなのです。
それでも湖の周りにはシヴァ派と思われるサドゥーの寝床が。ポップなリンガが逆に恐ろしい。
横浜とか東京の道端にももっとこう言う利便性やおしゃれとかとは皆無な物質が溢れかえればいいのに。
貯水池のような湖が中心にあるからでしょうか。町中に風がよく吹き抜け、そしてその風に乗って旅立ちを始める鳥の群れ。
風の恩恵はいたるところに。
戯れに群れを蹴散らしていた少年は反撃の渦の中。
それにしてもいつだってインド女子は神秘過ぎやしないかい。ごくごく稀に話が弾んでもすぐまたはにかみを残してベールの向こう側に隠れてしまいます。
一度でいいから梅酒とか飲みながらドンジャラとかやってみたいものです。
鳩は謎深い。世界中でしれっと馴染んでいらっしゃいますがどこから来て、どこに行く種なのか。平和の使者なのか、本当に。
こちらは大道芸人の女。関わると面倒臭そうなことほど魅力的だったりするからインドは面白い。
凪のアムリタ、黄昏。
まだ現実と神話の世界の境界線が曖昧だった頃には、反射の向こう側にもう一つ世界があったのかもしれません。
また三匹、旅に出ます。
夜が滲み出してくる頃なのに。影が溶ける時間なのに。
鳥の旅立ちを見送ることもそろそろ難しくなってきました。
羽がないけど手のある生活をおくっていますが。
日が沈みました。小さな村ですが夜には偶然にも結婚式を見学することができました。謎の東洋人、ヒゲメガネ踊る!の巻はまた別の機会にご報告できたらと思います。
特に何をするとか、何か見るものがあるわけではないのですが、プシュカルでの時間は他の町と流れ方が少し違っていたような気がします。
凪と波紋。風と旅立ち。小さくシンプルな因果を肌で感じられる時間に身を置きたくなったら、僕はプシュカル訪問をお勧めします。