たとえば八百万の神がすぐ御近所に感じられる八幡という響き。ハチマンと聞くだけでなんだか日頃の業を悔い、全身白い服を着て清らかな一日を送らなければと凛とした気持ちになるのです。
そんなわけで個人的に郡上八幡と並んで気になっていた街、憧れの近江八幡にはるばるやってまいりました。もちろん名前云々だけではなくお目当てはbiwakoビエンナーレ。
テーマはウタカタ。はかない琵琶湖の泡。
水路に沿って立ち並ぶ古い蔵を覗きこむとそこには、、
完全なる異界!大好きな旅ですら調査しすぎて確認作業になってしまう昨今、この予備知識なく唐突に、なんだかえらい事になっちゃってる空間に迷い込んでしまった感覚、ビリビリします。
牛頭馬頭の如き魑魅魍魎がなにやらロマンチックダンシング。
沈殿した空気に朽ち花が浮かぶ。
雨戸を締め切った薄暗い小屋の中ではガラスキノコ?が繁殖の危機!
ひぃー!目が闇に慣れてくると上から下から完全包囲。
それにしても色々な事を考える人がいるものですな。横浜や愛知といった都市部の芸術祭と比べコンセプト云々よりインパクト重視な気がしないでもなく。
だがそれがいいのです。
いったいここから何を読み取れと言うのですか。
その異質な現代美術とまったりした街並みのコントラストが実にお見事。蔵から蔵へ、小屋から小屋へ。その路地を彩る花々。
菊01
そしてまた暗闇へ。
店長inワンダーランド。ねじれた鏡による喪失感。
蚊帳に投影される気配。
菊02
菊03
そしてまた薄暗の中に。お出迎えは蠅の王自ら。かなりハードコア。
無機質な美術館やギャラリーでは成しえない時間とのコラボレーションが想像力を駆り立てます。なんとも魅力的な照明と椅子一脚。
オウムガイの観覧車が音も無く回り続けておりました。
アンモナイトの血統の抜け殻。それは不思議と美しく。
闇の中で影を作りながら往復を繰り返す玩具の電車。
暗闇の中で感じる浮遊感とノスタルジーが泡沫の夢とわかっていても尚離れがたい、不思議な魅力の琵琶湖芸術祭でありました。