電光石火!急ですが明日23日(土)より大村祐大さんによる写真展、祈りを支えるが始まります!
場所は四川省の山奥、東チベット。
人間の目では見ることができない神の国、業、あるいは悟りに向けて一心に祈りを捧げる人々の住む大地。
その信仰を一身で受け止める仏様を具現化した仏像。
これらはどこで誰がどこで、そしてどのような思いを込められて作られているのか。
この展示の主役は神様でもその教えの下で日々を暮らす人々でもなく、汗をかき輪廻を支える人々でした。
僕も作品が今から楽しみです!

以下作品説明と作家さんのプロフィール。
祈りを支える ー東チベット仏像工房ー
(撮影意図)
中華人民共和国は四川省、成都から西へ。 俗に東チベットと呼ばれるこの地域は、五色の祈りの旗や臙脂色の僧衣に象徴されるチベット仏教の世界だ。標高は3,000mを超える。空気は薄く、空は果てしなく青い。

ある小さな町の外れを歩いているときのこと。 建物もまばらな場所で、工場らしきものを見つけた。 「カン、カン」と金属を打つような音に惹かれて門をくぐると、そこは仏像を作る工房だった。
そこでは、数名の男たちが朝早くから夜遅くまで仏像を作り続けていた。ある男は仏像の頭を作り、ある男は巨大な像を作るための銅を加工する。工房の中には、これから仏像になっていくであろう手足や胴体が散乱している。
 工房の隣にある部屋には、テントが設置されていた。 ここは彼らの仕事場であると同時に、日常の生活空間でもあったのだ。男とともに女が2人、そして少女が暮らしていた。男と同様にこの工房で1日を過ごす。
薄い銅を叩いて成形し、溶接し、徐々に形作られる仏像。男たちのハンマーが、朝は1枚の板だったものを夜には仏の顔に変えていく。あるいは巨大な騎馬像の胴となっていく。女・子供は炊事や買い出しを行い、男たちの仕事を支えていた。

チベットといえば、僧や市民の「祈りの世界」、つまり宗教行為そのものに光が当てられる。これに対し、私が訪れた仏像工房で行われていたのは、チベット仏教という宗教を支える営みだった。本作品は、こうしたチベット仏教を「支える側」に光を当て、変わりゆく東チベットの片隅で生きる彼らの姿、そして変わりゆく日常の断片を記録したものだ。
中国の急速な経済成長に伴い、変化するチベット世界。私が訪れたこの町でも、ホテルなどのビルの建設が急速に進んでいた。こうした経済成長の陰で、仏像工房はきっと知らぬ間に消えていく。あるいは高度に機械化された近代の産物に生まれ変わるだろう。
こうした変化の時期にあるからこそ、チベット仏教を「支える側」である彼らの存在を丁寧に記録したい。いつの時代も、黒子の存在は誰かが記録しない限り残らないものなのだから。
大村祐大
1988年、青森県生まれ。
筑波大学体育専門学群卒業、東北大学大学院修了。その後、官公庁にて勤務。
就職前の2015年、インドシナ半島一周への旅を機に写真に取り組み始め、本年より本格的に作品作成を開始。ジャンルはドキュメンタリー。
現在、「意識しなければ見過ごされてしまうもの」「誰かが記録しなければすぐに忘れ去られるであろうもの」を集中的に撮影し、作品作りに励む。このような目立たないものをすくい取るようにしながら今の時代を記録したい。

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